庫
□さむさがこおる
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野分がいなくなって、もう4ヶ月が経った。なんてことない、昔に戻っただけだ。
野分は留学したらしい。
遊びに行ったんじゃない。
仕方ない。
「仕方ないこと」だから、行ってしまったのだろう。
俺に何も言わずに。
俺は今、野分を待っているんだろうか。それにはちゃんと終わりはあるんだろうか。
それはいつ?
もし帰ってきたとしても、俺に会うかどうかはわからない。
例えば
「待ってて下さい。」
とか言われてれば俺は何年でも何十年でもずっと待っていられるのに。
野分、のわき、
アパートが広いよ。
お前、自分のでかさぐらいわかれよ。
せっかく二十一世紀なんだから、メールとか電話とか使えよ。
一人で眠るのにはまだ慣れない。だからって毎日泣いてるわけにもいかない。
今日も、昔々に買った本を読もう。山積みになってるんだ。
ベッドサイドには俺が読んだ本で一つ二つ新しい山が出来た。
積もっていく。
積もっていく。
こんなにも
お前が大事だったんだよ。
いじっぱりな俺が
好き
と言いかけてひっこめる。
風呂上がりに飲みすぎた水が今更溢れて本を汚した。
●おわり●