庫
□意地悪
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悲鳴が聞こえた。
いつものUFOに乗って散歩をしていた時のことだった。
悪いことをしていない俺様は、驚いて悲鳴の方へ急いだ。
そこにいたのは、氷鬼。
俺様の何倍も冷徹で、外道で、強い。さすがの餡も悪戦苦闘していた。
ハラハラして、木の陰からその様子を見ていた。
氷鬼の大きな、刀が振りおろされるたびに目を瞑ってしまった。
氷鬼の「まいった」の声で戦いは終わった。
いつものガキ共が、餡の周りに走っていった。
「アンパンマン、大丈夫?」
バカじゃないのか?
あんなの、誰がどう見たって大丈夫じゃない。いつも傷一つ作らないくせに、今日はすり傷やら何やらで血が出ている。
なのに。
「全然大丈夫だよ。」
笑った。
いつもの、優しい笑顔。
隠れていた木を爪が食い込むほど強く握っていた。目頭が熱くなるほど悔しかった。
俺様なら、絶対に
そんな顔させないのに。
俺様はUFOに飛び乗って、全速力で家に帰った。
あいつを倒すロボットを作る。
あいつが泣いちゃうような強いやつ。
そうして思い知らせてやるんだ。
あいつらの愚かさを。
○おわり○