鬼灯の冷徹

□orphangirlfriend
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鬼灯様に彼女がいることを知ったのは つい最近のことだ。
上司のプライベートなど知る余地もない私たちは 鬼灯様の恋愛など 到底知ったものではない。
鬼灯様も 現世で言ったところの二十歳などだろう。恋愛をしていても なんら不思議な感じは私にはしなかった。
だが 周囲の反応は違った。
ここ最近の話題は 殆どが其で占められていると言っても過言ではない。
鬼灯様の恋人の名前は よく知らない。本人に尋ねるなどという勇気のある頓狂な鬼はなかなか存在しない。だから 名前を知っている者はない。
私は 度々鬼灯様の自室の前を通ることがあった。
大きく描かれた酸漿の柄の扉の中へ入っていく 小柄な女性を見た。髪は艶のある茶色で ピンク色の鮮やかな着物を身に纏っていた。恐らく その人物が鬼灯様の相手だろう。不釣り合いな程小さなその背中は 小さな幼女のようにもみえた。
まあ 噂とは言えど 此処まで広まっている話でも 鬼灯様は気になどされないだろう。
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