★ブック

□レンアイ感情
1ページ/7ページ

揺れる銀

ふわふわと風になびいて揺れる銀色。俺を見る度につっかかってくる。ムカつく奴。




「土方じゃん」
土方が目を向けた先にはムカつくあいつ、坂田銀時がにまっと笑っていた。
「…」
土方は黙ったまま銀時のくるくるとあちらこちらに飛び跳ねている銀色の頭を見た。ムカつく色だ。
「無視ですかァ。多串くーん」
「うるせぇクソ天パ」
「ちょっとおお!天パのことは言うんじゃねえええ!!」
「うるせぇ」
そのまま無視すると銀時は何だよつれないのー、とやけに寂しそうな声で言った。
* * *

「なんでおめぇがここに居んだよ」
騒がしい居酒屋の店内。カウンターの端に座る土方の隣には銀時。
なんでついてきてんだ、と充血した目でギロリと睨みつける。
「飲み屋に来る理由なんて飲む以外ないでしょーが」
別についてきた訳じゃありませんー、と銀時は片手に持っていた酒をくいっと一気に飲み干した。
「最悪だな」
土方はちっ、と舌打ちをすると、ちょっとぉ舌打ちとかやめてくれるぅ?と銀時が口を尖らせた。
「………なーなー土方ってさぁ、俺のこと、嫌いなの?」
銀時は不機嫌そうに酒を飲む土方をちら、と見つめてそう聞いた。

土方は一瞬止まった。嫌いか、だと?そんなん嫌いに決まっている。口喧嘩ばかりして、好物も正反対。周りからも犬猿の仲だと言われてるし、自分でもそうだと思う。いつでも飄々としてへらへらしてて…

「お前なんか…嫌いに決まってんだろ」

土方は銀時の顔は見ずにそう一蹴した。

「………そっかぁ、だよなー」
喧嘩ばっかだもんな、と銀時は苦笑混じりに言った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ