★ブック

□わかっていたけど‥
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「沖田くんてさ土方のこと好きなの?」












見廻り途中、否、いつものようにサボっていたのだけれど。団子屋を訪れていた沖田に見覚えのある銀色がそう言った。

思わず吹き出しそうになった団子をなんとか呑み込んで平常心を保ちながら口を開いた。
「なんでィ旦那、新しいギャグですかぃ?」
全く笑えませんぜ、と真顔で言うと万事屋の『旦那』こと、坂田銀時はその白髪頭をぽりりと掻いた。
「至って本気でしたけどね、」
「そうですかぃ」
ふい、とそっぽを向き団子を口に運ぼうとした沖田の隣に銀時はどっか、と腰を下ろして団子を一つ取った。「俺のでさァ」と言うと銀時はまあまあ、とでも言うように手をひらひらと振った。
「で?どうなのよ」
団子を頬張った口でもう一度、銀時はそう問うた。沖田は少し困惑した。しかし顔をあげてキッパリ言う。
「嫌いでさァ」
そう言うと銀時は目をぱちくりと開いたが、すぐにふっと笑みを取り戻した。
「そーぉ?」
「へい」
何事もないように団子をもぐもぐと口に入れると、銀時はもう何も言わなかった。そんな銀時にますます怪訝な思いを抱いた沖田は席を立った。
「どしたの」
「帰りまさァ」
そろそろあのワーカホリックが追ってくるかもしれないんでね、といつものように言った。
「沖田くぅん」
銀時がそう呼んだが聞こえない振りをしてそのまま歩きだした。
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