Ryuki's Dream

□霧雨が降る森パロ
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第4話「目の前にしたものは」







そういえば、まだ戸締りを行っていない。





もう一度部屋を出て、階段を降りて一回へと向かった。

お風呂場、トイレ、しっかりと閉められていることを確認しつつ、廊下に設置してある窓と玄関のカギを確認した。




残りはリビングだけだ。




ドアへと手を伸ばし、引っ込んでしまいそうになる手をなんとか押さえつつ、そのドアノブへと手を置き開けていた。







リビングにある机に上にあるのは、龍輝の誕生日を祝うために置かれたケーキや母親特製のすでに冷たくなってしまった料理。

いつも机を取り囲んで食べていた食卓が今はなお一層自分の立ち位置を示すかのようで龍輝の心を悲しみに染めていた。


立派なケーキは、母親特製のだ。
料理が好きな母親で、お菓子を作ることが大好き。


龍輝もまたそんな母親のお菓子が好きで、小さい頃からそんな母親のお菓子作りの手伝いを自分から行っていたぐらいだ。




しかしそのケーキは長時間置きっぱなしということもあり、すでに痛みはじめていた。






「明日にでも片付けなきゃ・・・・」





そういつまでも机に上に置いたままではダメだ。

片付けなければ。

料理も腐れ始めていた。

すべて料理は龍輝の好きなもの。

小さい頃の好きなものがあれば、つい最近好きになった料理もあった。




「・・・私の好きなものばっかり・・・」







台所の上にあるまな板の上にはまだ作ろうとしていたのだろう。

切りかけの材料が、まるでこの家の時間の流れを止めているかのように置かれていた。






胸が苦しくなる。





ぎゅうと右手で胸元を握った。

昨日までは、昨日まではいつも通り、このリビングで両親とご飯を食べていた。


大学であった話しを母親は料理を作りながら聞き、父親はテレビの前で聞いてくれていた。

しかし父親はテレビに集中した様子だ。

文句を言いながら母親の隣に立ち、料理の手伝いを行っていた。








・・・いつも通りだった。








無言でリビングから去り、後ろ手でドアを閉めた。


部屋に戻ろう。


階段をゆっくりと登り、自室へと戻って来ると冷たい布団の中へと入りこんだ。


なにも考えずに済むよう目を力づよく閉じた。






















突然のひとりぼっち・・・・





私のことを小さな時から知っている人もいないし、父と母のことを昔から知っている人もいない。







それが





どうしようもなく、寂しかった。













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