Shizuki's Dream

□寄りたい背中
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『あ、おんなじくらいになった!?』
『まだおれのほうがたかいよ。』
『う…ちょっとだけだもん!すぐおいつくもん!』


庭の木に刻みあった身長は、
ずっとずっと互い違いのままだった。
ずっと君の方が上に上に刻んでて、
でも絶対追いつくんだから!
って幼いながらに努力してみたり。
それが、まるでなかったかのように感じるのが今の日常だったりする。



(おまけに今じゃバスケ部だし。)


赤司と背中合わせに、琥珀は一人想いに耽る。
赤司はそんなこと気にも止めていないように将棋の駒を打ち続けていた。
琥珀はといえばあと覚えてることといったらなんだったかとか、
というかなんでこんなに今になって思い出すんだろうとか。
やっぱり思い出に耽るばかりだった。

(そういえば、背中…)

背中が触れ合うかどうかのところでふと思った。
背中も広くなってる。
少しだけ伝わってくる体温も心地いい。
それから、安心してしまうせいで、少し眠たい。
そう思った時にはもう遅くて、少しだけいいかなと、赤司の背中に寄り掛かって琥珀は眠ってしまった。


「琥珀?」


赤司は声を掛けるが、
すっかり眠ってしまったようで、起きる気配は全くない。
そんな様子に赤司はクスリと笑う。
のはいいものの、流石にこの体勢のままでは無理があった。
赤司は琥珀の身体を支えてやりながら琥珀の方に身体を向ける。
琥珀の頭は丁度赤司の首筋の位置にくる高さにあった。
幼い頃に身長を刻み合った木の下で寄り添っていた時とは違う。
あの時も琥珀は赤司よりもよく眠っていた。
あの時自分がこっそり頬に口付けていたことは気付いていたのだろうか。
幼かった自分たちにはまだ早かったからと、子どもながらにそうしていたが、
もう今は…

赤司がそう思った時には琥珀の少し開いた唇にそっとキスしていた。

ん…、と唇のちょっとした感触で琥珀は目を覚ました。
いや、覚めた。
琥珀が目を大きく開けて
何が起こっているかもわからない様子を見るとリップノイズを立てて赤司は唇を離した。


「なっ…!?なに…?え…?」
「驚きすぎだろう琥珀。」
「いや、だって…今の…!」
「…あぁ、もしかして初めてだった?」
「なっ…!!」
「わからなかったのならもう一度だけしてあげるよ、琥珀…」


そう言って意地悪そうに笑う目の前の彼はもう幼馴染の顔なんかしてなくて、
"彼氏面"していた。
というか、…彼氏、です。




end.


歌姫様、フリリクありがとうございました!遅くなって大変申し訳ありません。。
お気に召していただけたら幸いです!
読んでくださったお嬢様方もありがとうございました!
黒バスキャラの背中ってみんな素敵ですよね←
 

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