Dream
□ああ、愛しの
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「アイツが死んだ」
愉快そうに言ったリドルの言葉を聞いて、ユーフェリアは徐に目を見開いた。
死んだ、死んだ。誰が。あの人が。死んだ。何故、何故、何故。どうして、死んだ…
嘘よ
「どうしたユーフェリア」
全てを理解しているはずなのに、意地悪く彼は彼女に問いかけた。
「どうしてそんなにも動揺している」
「動揺なんて」
「ああ、ユーフェリア。イケナイ子だね」
リドルは咎めるようにユーフェリアの首筋へ歯を立てた。瞬時にぴくりと小さく跳ねた彼女を見て、満足げに目を細める。
触れた歯が皮膚を引き裂き、溢れ出す鮮血を舌で舐め取られている。
そんな恐ろしい錯覚を覚えたユーフェリアはなんとか自身を落ち着かせようと、そっと瞼を下ろし、ゆっくり深呼吸した。
「何故動揺する。喜ばしいことだろう。君だって自ら僕を選んだ」
彼女はきゅっと服を握った。
「分かってる。それでもリドル」
「まだ思うか。アイツは君を切り捨てた愚かな男だというのに」
これは未練というのだろうか。自身の中に渦巻く思いを探る。
確かに、私は彼を深く愛していた。呼吸をするのと同じくらいに、大切だった。いなければ生きていけないと思うほど、愛して、いた。
しかしそれはもう今の私の中では、過去の話になっていた。
彼は私を切り捨て自らの願いをとった。私もそんな彼を愛し続けることができず、リドルを選んだ。
未練などあるはずがない。あるわけがないのに、彼の死に胸が痛むのは何故なのだろうか。
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