Dream
□ああ、愛しの
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「ユーフェリア」
彼は柔らかな声色で彼女を呼んだ。
ユーフェリアは読んでいた本から視線を外し、くいっと首を傾げてリドルを見た。テーブルに置かれた蝋燭の炎がゆらりと揺れる。
「そろそろ寝る時間だ」
壁で振り子運動を続ける時計に目をやり、リドルは彼女を促した。
「嫌よ。私はまだ眠くないわ」
「そう言って昨日も夜更かしをしただろう。今日は早く寝ると言っていたじゃないか」
「でも・・・」
「ユーフェリア。僕は嘘が嫌いだ。君が一番知っているだろう」
「・・・はい。ごめんなさい」
ユーフェリアは先日リドルに嘘をついて、ノクターン横丁へ行った時のことを思い出し、素直に謝罪の言葉を口にした。
あの時、色々な闇の魔法道具を見られて、本当に本当に楽しかったのだが、彼にばれた後はそのことを心底後悔した。
本当に、酷い目にあった。
彼女は本を棚に戻し、小さく息を吐き出した。
「おいで、ユーフェリア」
機嫌良く微笑みを浮かべる彼に僅かな抵抗を覚えつつ歩み寄ると、腕をぐいっと引かれ、後ろから抱えられるような形で座り込んだ。
「どうかした?」
「聞きたいか」
リドルはユーフェリア頭に額を寄せ、口角を上げた。
「ええ。聞きたいわ」
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