Diable or Ange

□証
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ギュッ







琉海を抱きしめた











「もぅええ、もうええんや、琉海。
何も言わんでもええ。
お前が何やろうと俺は構わん。
例え、人間でなくてもな。



やから……自分を追い詰めるんは止めてくれ」

耳元で囁かれ琉海は
ハッと我に帰る



『りゅ、う、じ?』


琉海の手が空中をさ迷う




「そや、俺や

琉海、大丈夫か?」



『う、ん……』
なんとか意識を取り戻してきた



『竜士……ありが、とう。
ごめん、ね…… 。』

私はポツリポツリと言った


「もう、何も言わんでえぇ。
さっきも言うたやろ?


俺はお前が何であろうと構わん。


お前という女に惚れたんや


やから……



やから、 ただ……側にいてほしい。」


抱きしめられる力が強くなる。

だけど、割れ物を扱っているように優しい…



空中をさ迷っていた琉海の手も
それに合わせるかのように
竜士の背中にまわる。








二人は少しの間そのままでいた。










『竜士……。』


「何や?」
その声はいつものように優しい










そう、いつの間にか貴方と言う存在が
心のなかで大きくなっていた。





今なら……言えるかもしれない……。






私は背中にまわした手に力を込める








『私ね、貴方と同じ人間じゃないの』





「……」
竜士は話を黙って聞いてくれている




『私は悪魔と天使の間に生まれた







しかも、貴方の憎むサタンのね。』








竜士の息が一瞬止まる


が、私は続ける


『私は悪魔にもなれず、
天使にもなれず
無価値な物としてずっと封印されていた。
私も初めはそれでいいと思っていた

だって、父上にも母上にも会ったことはなかったから



正直恨んでた。
どうしてこんな無価値な物を生んだのかって




でも、お父さん…、メフィスト、私の弟と出会って
この世界……物質界で生きることにした

そして、貴方達、竜士達と出会って……
私は私が生きる価値を見つけたの。




……ごめんね、黙ってて。

もし、私を殺したいのなら殺せばいい。

好きな人に殺されるのなら別に構わない』



言い終わると私は竜士から離れた
力が抜けた竜士から離れるのは容易だった。



そして、目を瞑る



(もし、少しでも竜士の心が晴れるのならば
殺されても私は構わない)




元は無価値な物として扱われていたのだから
それくらい平気。






(…それなのに……。)



どうして、こんなにも
心が締め付けられるように痛いのだろう。
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