空中ブランコ
□マユゾン出現事件
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「お前ら、早く乗れ!」
エレベーターに乗り込んだ俺たち。よかった、助かったんだ。
「全員無事か?ちゃんといるか?」
「1、2、3、4、5、6。ああ大丈夫だ」
因幡さんが数を数えたけど......なにかおかしい。俺の目には5人しか見えない。うーん。
「因幡さん、もう一回数えて下さい」
「大丈夫だって圭。ほら、俺に圭に優太、ガブリエラにロレンツォ弥太郎。ホラ6人だ」
「待たんかいィィィ!!」
エレベーターの中にあったのはいつも弥太郎さんがしているメガネだった。
「これが弥太郎さんですか......ただの黒渕メガネじゃないですか!!」
「そうだよ圭、弥太郎は黒渕メガネだよ」
「そーじゃなくて、弥太郎さんには黒渕メガネしかありません!!」
「圭くん、弥太郎には黒渕メガネしかないんだよ」
因幡さん、優太くん......。いくら俺でもなんだかかわいそうになってきたよ。弥太郎さんとはあまり話したことないというより無口な人だけど、意外と優しいかもしれないのに。そんな人を1階に、しかもあのマユゾンの群れの中に......。