俺は俺
□俺は俺 4
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前世を思い出してから、赤也として生まれ変わってしまったことに戸惑った。
俺が赤也として生きてるなら、本当の赤也は…?
でも、悩んだところで答えはでないし、生まれて来たもんはしゃーなしや。
赤也であろうと、愁也であろうと、俺は俺や!
そんなある日の放課後。
俺はいつも通り公園のテニスコートで、隆二と打ち合いをしていた。
隆二はあまり喋らなくなった俺に、今までのように普通に接してくれる。
そして、たまに喋ると出る関西弁にも、なにも聞かないでいてくれた。
まるで言わなくても全てを受け入れてくれるみたいで、すごく嬉しかった。
隆二は意外と人の気持ちを察するのがうまいから、あえて聞かないでいてくれているのだろう。
恐るべき、小学二年生や。
ただ、こう言っては何だが、隆二は本当にテニスの上達速度が遅い。
俺と毎日打ち合いしているにも関わらず、ホームランボールの数は一向に減ることはない。
ほら、また。
言わんこっちゃないわ。
ボールは綺麗に項を描き、フェンスの向こうへと消えていった。