俺は俺
□俺は俺 4
2ページ/5ページ
「赤也ごめん!!」
『ええでー!
取ってくるわ』
必死に謝る隆二に大丈夫だと伝えると、今度は俺がボールを取りに行く番なので、駆け足でコートを後にした。
ちなみに、今日のホームランは今ので三本目だ。
あ、あったあった。
ボールは案外すんなりと見つけることができた。
なので早くコートに戻ろうと駆け出そうとした時、不意に後ろから名前を呼ばれた。
「切原…赤也…?」
しかも、フルネームで。
足を止めて振り替えると、そこには知らない男性が立っていた。
まるで幽霊でも見ているかのごとく、目を見開いている。
『おっちゃん、誰やねん』
少しムッとして声をかけると、男性はさらに目を見開いて
「何で関西弁やねん」
と呟いた。
『おっちゃんかて、関西弁やん』
「はは、確かにな」
そう言って困ったように笑った顔は、どこかアイツに似ている気がした。