兄と妹
□兄と妹 2
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そんな話をしていると、担任が教室に入ってきた。
それを皮切りに、散らばっていた人達が自分の席へと戻る。
みんな、どこかいつもより落ち着きがないように感じた。
転校生が気になって、仕方がないのだろう。
「噂には聞いてると思うが、今日このクラスに転校生がくる
幸村、入ってこい」
担任が言った後少し間を開けて、少しずつドアが開かれた。
そして入ってきたのは、小柄な女の子だった。
胸まである藍色の髪は緩くウェーブしており、黒板の前に立つと大きな目を少し細めて笑った。
緊張しているのか、頬は少し赤らんでいる。
『大阪から来ました、幸村莉緒です。
よろしゅう!!』
時が止まった気がした。
あぁ、これが一目惚れなんだ…ってどこか他人事のように考えていた。