兄と妹
□兄と妹 2
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「じゃあ、席は…切原の後ろだな。
切原、手挙げろ」
ボーッとしていた俺だったが、担任の声で一気に現実に引き戻された。
「えっ?!
おれっスか?
はっはい!!!」
「切原、ちょっと落ち着け」
クラスは、一気に笑いに包まれた。
でも、そんなこと気にもならない。
だって…、転校生が俺の後ろの席だなんて。
慌てている間にも転校生は、着席していた。
嬉しいやら恥ずかしいやらで、体か動かない。
すると、後ろから肩をポンポン、と叩かれた。
瞬時に後ろを振り向く…と、そこにはもちろん転校生がいるわけで。
自分の顔が、赤くなるのを感じた。
『うち、幸村莉緒!!
莉緒って呼んでや!』
「お、俺、切原赤也!!!!!!」
「おん。
赤也やな!!!」
名前を呼ばれて、さらに顔が熱くなる。
席を前後にしてくれてありがとう、と初めて担任にこんなに感謝をした。