兄と妹
□兄と妹 2
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『赤也、テニス部なん?』
朝のホームルームが終わると、唐突に莉緒にそんなことを聞かれた。
「なんで知ってるんだ?」
こんな短時間で誰かに聞いたのだろうか。
そんな疑問を浮かべていると、莉緒は俺の机の横に置かれているラケバを指差した。
あぁ、なるほど。
俺が納得していると、続けて自分の机の横を指差す。
すると、そこにはラケバがあった。
『うちもテニスすんねん!!』
そう言うと、莉緒は嬉しそうに笑った。
「まじ!?」
予想外の共通点に俺も嬉しくなって、思わず身を乗り出す。
『おん!!!
放課後、テニスコートに案内してや!!!』
「いいぜ!!!」
放課後がいつも以上に待ち遠しくて、いつもは寝てばかりの授業も今日ばかりは目が覚めていた。
二章 転校生 完