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□続 無力 1(40000hit、騎虎様リク、「無力」の続編)
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「彼」がいなくなった後の男鹿の様子は、それはそれは酷いものだった。

いつも心ここにあらず。


古市くんという恋人を失ったから?
それとも古市くんという親友を失ったから?

古市くんとの屋上のやりとり、今でも鮮明に覚えている。

あれから1週間。

「彼」は無事なのだろうか。

男鹿はなぜ「彼」を…

古市くんを捜そうとしないのか。


それほどまでにショックが大きいのか。


「ねえ、男鹿…。」

「あー?」

「古市くんのことなの…。」

古市くんの名前が出ただけで男鹿の目の色が変わったのが分かった。

「男鹿は…彼をどう思っていたの?」

「あ?どーゆうことだよ。」

「彼をちゃんと…。

…恋人、だったんでしょ?」

「…あたり前だろ。」

「…本当に?
彼をちゃんと…愛してあげてた?」

「…あ?
恋人だったんだから当たり前だろ。
大切に…。」

「…本当に愛してたの?

あなた、愛するって意味、わかってるの?」

男鹿は黙り込んでしまった。

そう、やはり男鹿はわかっていなかった。

古市くんは男鹿は古市くんのことが好きではないと思っていた。

そしておそらく古市くんはわかっていたのだ。

男鹿は…

「愛する」ということをわかっていない。



愛している人に愛されない。

それはとてもつらいこと。

愛し方がわからないから優しくする。
大切にする。

それがどれほど苦痛か…男鹿は、知らない。






突然だった。

「彼」が消えたのも突然。

そして、現れたのも突然。

無垢で真っ白だった「彼」は、そう…真逆…。

一言で言うならば、それは「漆黒」。

彼は…真っ黒に染まっていた。
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