おがふる
□もう死んでたんだ 2
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「男鹿、ベル坊、おはよ。」
「おー。」
今日もまたいつもと同じ1日がはじまる。
朝、いつものように男鹿と登校した。
男鹿は、俺のケガを見ても何も言わなくなった。
でも不思議と悲しくなくて、昨日思った通り
俺の心はもう死んでたんだな。
なんて改めて思った。
「そういや古市。昨日結局何の用事だったんだ?」
「あー。あれだよ。また不良に絡まれちゃってさ〜。男鹿呼べって言われたんだけど、まぁすぐ切ってくれたおかげである意味助かったわ。」
まったく、お前のせいでとんだ災難だよ。
なんて、いつものように笑いながらいつものように言った。
「あ、やべ。もうこんな時間じゃねーか!遅刻しちまうぞ!男鹿!!」
そう言って男鹿と学校まで走った。
俺は男鹿より前にいたから気づかなかった。
男鹿が眉を寄せていたことに。
学校まで走ったので思ったよりはやく学校についた。
「お、お、男鹿!おはよ!」
「おー。」
教室に入るといつものよう邦枝先輩が顔を真っ赤にして男鹿に挨拶する。
男鹿はいつものように返事を返した。
いつもの行動、いつもの光景。
いつもと違うのは男鹿と話すだけで真っ赤になって見るからに男鹿が大好きだってわかる邦枝先輩に嫉妬を抱かなくなったこと。
「あら、古市くんまたケガしたの?大丈夫?」
「心配してくれるんっスかー。邦枝先輩。」
「キモっ」
「調子乗ってんじゃねーよ。キモ市。」
「ロリコン。」
このやりとりもいつものこと。
いつもと違うのは何を言われても傷つかなくなったこと。
「え〜。ヒドいっスよ〜。」
そう言ってへらへら笑ういつもの俺。
全部全部いつもと同じで、違うのは
俺が何も感じなくなったこと。