おがふる

□If
2ページ/3ページ

「死ぬなよ。」

「あ?」


屋上で俺の横でメロンパンにかぶりついていた男はその言葉を聞くと「は?」という顔をした。

そして

あー。

と返事をしたかと思うと食べかけだったメロンパンの残りをひょいっと口に入れて俺の頭を撫でだした。


「お、男鹿!?」

俺が焦って手を払おうとすると

「またなんかくだらねーこと考えてんだろ。馬鹿やろう。
俺は死なねぇよ。」

そう言われて払いのけようとした手を下ろした。


「いつまで撫でてんだよ。」


「あ?そーだな。

お前の泣きそうな顔が治ったら止めてやるよ。」


「…」

俺は気づかないうちに泣きそうな顔をしていたらしい。


そのあと俺はお言葉に甘えて男鹿にしばらくの間
男鹿に頭を撫でられていた。

「ん。もう大丈夫そうだな。」

しばらくしてそう言って男鹿は撫でるのを止めた。


「あぁ、ありがとう。男鹿。」


「おー。」


遠くで予鈴のチャイムが鳴る音が聞こえた。

「あ、昼休み終わっちまうから行こーぜ。男鹿。」


「あぁ、そうだな。」


返事をすると男鹿はスタスタと階段の方へ歩いていく。

俺もそのあとについていく。

ふと俺は階段の前で立ち止まって階段を早足でおりていく男を見た。







ねぇ、男鹿。

俺はいつでも思ってるよ。

死ぬな。


でもさ、同時に男鹿にはもう孤独を味わってほしくないし悲しい思いも辛い思いもしてほしくないんだ。

だからさもし、







もしお前が俺のことをずっと好きでいてくれるのなら


俺より先に死んでくれ。





俺は赤ん坊の背負われた広い背中を追いかけた。


ガタンッと後ろで扉の閉まる音がした。







あとがき→
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ