おがふる
□ねぇ、「ボク」が泣いてるんだけど 4
1ページ/2ページ
古市がいた。
真っ白な世界に。
古市…
そう呼びかけると古市は振り返って笑った。
それは本当に本当の古市の笑顔だった。
あれ?この笑顔を最後に見たのはいつだっただろう。
そんなことを思っているとふいに白い世界が染まってきた。
真っ赤に。
それは本当に真っ赤な…
例えばルビーのように美しく。
例えば血のように不気味な。
『紅』だった。
その『紅』は世界を染めると今度は古市を染め始めた。
古市!
俺は叫んで古市に手をのばそうとした。
しかし。
ふるふると頭を振り微笑む古市が。
その笑顔は…
寂しそうな笑顔だった。
そして古市は真っ赤に染まった。