おがふる
□永遠なんてない
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好きだった。大好きだった。
ねえ?男鹿だって俺のこと好きだよね?
『大丈夫、俺が絶対お前を守るから。一生お前を大切にする。』
好きだよ。
そう云って笑う男鹿。
初めて男鹿に抱かれた夜のことだった。
男鹿は優しく、愛してくれた。
一生この幸せが続くと思ってたのに…
いつからだろう。
男鹿の心は俺を見なくなった。
男鹿の視線の先にいたのは俺だったのに、それはいつしか綺麗な黒髪をもった綺麗な女性へと移っていった。
それでも、きっと今だけだって、そう思い続けて…
いつか、いつかまた俺のところに戻ってきてくれるって…
それなのに…
現実は残酷だ。
初めは優しくして愛をいっぱい与えてくれたセックスだって、いつからかもう、優しいだけのものになってしまった。
愛なんてそこに存在しなくて。
俺からねだらないとキスもセックスもしてくれなくなった。
男鹿は優しい。
俺を傷つけまいと必死で自分の心に気づかないふりをする。
俺はそんな男鹿に気づかないふりをする。
俺は卑怯だ。
男鹿が好きだ。
だからわざと鈍感なふりをするんだ。
『邦枝が好きなんだろ?
いいよ、別れても。』
男鹿のためを思っての、その言葉が言えない。
自分が可愛いんだ。
男鹿が好きだから、言えない。
別れたくないから。
抱かれた後に眠る男鹿に必死に念を送る。
お願い。
俺だけを見て。
俺のところに戻ってきてよ。
それがムリならいっそ…
そう思い手を男鹿の首にかけてもできなくて…
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