おがふる連載
□第1話
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コツコツ
長い廊下をゆっくり、ゆっくりと少年が歩いていく。
地毛とは思えないほどの美しい銀色の髪。
整った顔は女性のようで自らが着ている西洋風の服によく映えている。
少年はゆっくりと歩いていく。
少年の目の前には空色の髪をしたこれまた美しい青年が立っている。
さらに深淵のように深い青の瞳。
長い空色の前髪は真ん中で分けられている。
額にはリングを2つ重ねたような紋章が刻まれている。
大きな扉の前まで来るとふいに青年は足を止めた。
つられて少年も足を止める。
「心の準備はいいかい?
古市くん。」
「えぇ。いつでも。」
古市と呼ばれた人物はふっと笑って答えた。
ギィィ、と大きな音をたてて扉は開く。
扉の向こうは大広間のようなところだ。
暗闇の部屋の中央には青年の額にあるものと同じ紋章が刻まれており紋章の中央に1つだけ置かれている蝋燭がそれを照らしている。
そしてそこには蝋燭に照らされた5つの影があった。
「遅かったじゃない。マモン」
ふいに蝋燭に照らされている影のうち1つが言った。
「すまない。アスモ。」
そう言いながら青年と古市は大広間に入っていく。
中に進むにつれて5つの影の持ち主の顔がはっきりと見えてくる。
「別に怒ってないわ。」
アスモと呼ばれた女性は呆れ顔でそう言った。
その女性はまさしく絶世の美女、と言って良いほどに美しい顔立ち。
長い紫色をした髪。
エメラルドのように美しい緑の瞳。
そして彼女の右肩にもまたマモンの額にあったのと同じ紋章が刻まれている。
「そーそ。」
「マモンが遅いのは。」
「「いつものことだもんねー。」」
そう言ったのは
双子の少女たち。
金髪の髪に空色の瞳、まさしくお人形のように愛らしい。
「いや、だからすまなかったって。グラトニー、ベルフェ。」
双子の名前はグラトニーとベルフェ。
ちなみに先に言ったのがグラトニーで後から言ったのがベルフェだ。
ちなみに少女たちにもグラトニーには左目の下の頬に、ベルフェには右目の下の頬に紋章が刻まれている。
「そのくらいにしといてやれ。グラトニー、ベルフェ。」
「「はーい。」」
からかうグラトニーとベルフェをなだめたのはルシファーだ。
彼は赤い短い髪に左に1ふさ白く長い髪が垂れていて、黒真珠のような真っ黒の目。そして右の手首に紋章が刻まれている。
「みなさんマモンさんと古市さんがなかなか来なくて心配してたのですよ。」
今度は先ほどの女性とは違う、美しいというよりも可愛らしい女性が言った。
ピンクの髪に赤い瞳。そしてやはり彼女の左手の甲にも紋章が刻まれていた。
彼女はラース。
「いや、すまない。」
「もう結構ですわよ。マモンさん。さぁ、始めましょう。」
「あぁ、そうだな。
…では煉獄七大罪騎士。最後の1人を迎えるための儀式を行う。」
そういうと6人は紋章を囲むように並んだ。
「古市くん。覚悟が出来たら蝋燭の前まで来てくれ。」
古市は迷い無く蝋燭の前まで歩を進めた。
「これより儀式を始める。」