企画
□約束(10000hit、kiku様リク、「弟」の続編)
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「…古市…」
男鹿は夕暮れの病室でそっとつぶやく。
その声が古市に届くことはないとしても。
古市が自分の意志をしめさなくなってから1ヶ月がたった。
男鹿は毎日古市のところへ通っていた。
古市の家族は男鹿を咎める気はなかった。
母も父も妹も。
みんな男鹿のせいではないから気にするな。とそう言った。
どうせならお前のせいだと責めてほしかった。
その方がずっと楽だっただろう。
でも古市の家族はそんなことしなかった。
男鹿はあの日、自分の罪を自覚した日。
古市の家に行ってあらいざらい全て話した。
土下座して、何度もあやまった。
古市の家族は男鹿に
顔を上げてくれ。と言った。
そして
本当のことを話してくれてありがとう。そう言った。
それで男鹿の罪滅ぼしには充分だと思ったのだ。
でもそれじゃ駄目なんだ。
古市をもとに戻さない限り、俺の罪滅ぼしは終わらないんだ。