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□続 無力 2(40000hit、騎虎様リク、「無力」の続編)
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古市が大切だった。

愛していると思っていた。

愛せていると…。


本当は薄々気づいてたんだ、俺だって。

古市の時たま見せるあの表情。

もしかしたらとは思ってた。

でもそれと同時にそんなはずはないと思ってた。

でもそんな思いは、邦枝の言葉であっさりと打ち砕かれた。

『愛するって意味、わかってるの?』


俺は愛し方以前に、愛するということすら俺はわかっていなかった。


古市、あいつはカンがするどいからきっととっくに気がついていたんだろうな。



古市はどんな気持ちだったんだろうか。

俺に抱きしめられるとき、キスされるとき、抱かれるとき。



古市を大切に思ってるんだ。

これは本当だ。




古市が連れ去られたとき俺はすぐさま追いかけるべきだったのか?


あの時、古市が連れ去られたとき。

俺の中の何かがなくなった気がした。

喪失感…。

何もやる気がおきなくなって…。

あんなのははじめてだった。

どうしてそんな感情になったのか俺にはわからない。







そして今、目の前にいる古市。

その姿を見ただけで、抱きしめたくなった。




ちゃんと伝えなければ…

でも何て言えばいい?

俺にはわからない。


ただ、古市の黒い目を見ながらあいつの名前を呼ぶことしかできなかった。
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