企画

□I want to…(古市誕)
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今日は11月11日。

古市貴之の誕生日。

なのですが…





「誰もなんも言ってくれねぇんだな、これが。」

屋上で1人ため息をつく古市。

別に誕生日だからおめでとうとか言ってほしいわけじゃないけど。
 

…男鹿は邦枝たちと教室にいる。

今日は男鹿は邦枝とお昼を共にしているわけだ。




「誕生日ぐらい…一緒にいてくれてもいいのに…」

別に男鹿や邦枝をひがむつもりはない。

でも…


「あー!!やめやめ!
こんな辛気くさいの俺じゃねえー!!」

気分をかえようと叫んでみても、シン…と静まり返った屋上ではなおさら虚しくなるだけ。

「なんか、もういいや…」

教室に戻るのも面倒でゴロンと屋上で横になる。


男鹿、今ごろ邦枝先輩となにしてんのかな…


襲ってくる睡魔に抵抗しながらそんな事を考える古市だったが遂に睡魔に負けて意識を手放したのだった。

ああ、遠くでチャイムの音が聞こえる…。










頬を撫でる冷たい風で目が覚めた。
気がつくともう夕方…

「まじ…?」

この時間じゃもう皆帰ってんじゃね?


日が暮れるのがはやくなってきているこの季節。
夕方の時間だがあと数十分もすればすぐに真っ暗になってしまうだろう。

急いで教室に戻る古市。
案の定、教室はもぬけの殻で…。
わかってはいたけれど、少しがっかりした。



待っててくれたってとは言わない。
それでも…

「起こしてくれたってよかったのに…」


べつに祝ってほしいわけじゃないし、男鹿みたいに誕生日パーティー開くとか、そんなことしてくれなくても良い…

てゆうか別にクラスの人たちに覚えてもらってなくても全然構わない。

男鹿にだって特別なことしてほしいとか思ってなかったけど…

「こんなのちょっと…」

これじゃあ普段と何も変わらない…


「今日ぐらい…一緒に居てくれたって…」

不覚にも泣きそうになる。


期待していなかったと言えば嘘になる。

でもそれは…単なるささやかな…願いのつもりだった。

きっとあの鈍感男は古市の誕生日など忘れているだろう。

だから古市は先週の金曜日男鹿に言ったのだ。


来週の月曜日、一緒にいてほしい。


「帰ろう…」

泣きそうになるのを必死で抑え古市は学校を後にした。
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