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□白薔薇の女王 6★
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「…古市…古市。」

「…ん…あっ…」

その夜、俺は男鹿に抱かれた。

優しく。


その優しさが苦痛になるほど。


「…泣くな…古市。」

そう言って何度も涙を拭う。

でも、俺のとめどなく溢れる涙は止まらない。

男鹿が…そんなに優しくするから…

「そんな…優しく…する…な…!」

男鹿は悲しそうに笑った。

男鹿は優しくするのを止めない。

優しくするくらいならいっそ…
突き放してくれればいいのに。

…優しさは時に凶器になる。


どうしてお前はそんなに優しいんだ?

わかってる、俺だって。
…もう戻れないって。
俺だってそんなことぐらいわかってるのに…!

あえてそのことを教えまいとするこの男はどこまで鈍感なのだろう。


馬鹿だ…
本当に…

お前も、俺も。

大馬鹿だよ。
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