シリーズ

□白薔薇の女王 7
1ページ/2ページ

白い人と黒い人がいた。
その子らはおそらく中学生になるかなるまいか、それほどの歳の子たちだ。

その子たちの周りには彼らよりもはるかに年上と思われる人たちが倒れている。

「なんだあ?もう終わりかよ。
なあ、古市。」
黒い人が言った。

「そうだな。
こいつらここらでも噂になってたから、もっと強いと思ってたのにな、男鹿。」

白い人もそう返した。

2人はお互いに笑いあった。

「やっぱ、俺らサイキョーだな。」

男鹿は嬉しそうな顔で言った。

古市も当たり前だろ。と笑った。



ああ、これは夢。

確かに、こんな頃が俺たちにはあった。

幸せだった。


この頃に戻ることができないことなどわかっている。

やり直すことなどできないこともわかっている。

それでもこの頃に戻りたいと願う。

そんな俺は愚かですか?



目が覚めたとき、はじめに思い出したのは昨夜の夢。
次に思い出したのは昨夜の情事。
そこで気づく。
昨夜自分が気を失って眠りについたときには確かにあった背中の温もりがないことに。


「…男鹿?」

俺はズルい。

あんなに突き放してほしいと願ったくせにいざ隣に居ないと不安になる。

ああ、もうダメなのかもしれない。
何もかも…。

「お?起きたか、古市。」

ベットの上に座りこんでいると不意に扉が開いて声がした。

はっとして振り向いた俺は名前を呼ぶことも忘れただ呆然とその男を見た。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ