シリーズ

□呼ばれぬ名 4
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「たいへんだ!ソロモンが…!」

騒ぎ出す王宮。

ソロモンは死んだ。

死に顔は、穏やかなものだった。




「また夢かよ。」

でも、今の夢は記憶にないな…。
俺がまだ思い出してねえやつか。

「辰巳ー!いつまで寝てんのよ!」

姉貴に呼ばれてそこで思考停止した。

まー、そのうち思い出すだろう。


それから3日たって1週間がたってさらに2週間がたった。
シトリーがきてからだと3週間たった。
だが俺はもう何も思い出さなかかった。



「…で、進展はもうないわけ?」

通学途中、古市がそうたずねてきた。

「…あー。
あれから2週間もたつのになんも思い出さねえ。
もう全部思い出したんじゃねえ?」

古市にそう言うとふーん。という返事だけ帰ってきた。

「…なー古市。」

「ん?」

「お前、なんか隠してねえ?」

ピキンとその場が凍りついた気がした。


「…」

あれ?なんだこの間は。
古市は下を向いてしまった。


「…お前が悪い。」

ボソリと呟かれたその言葉。
しかし俺にはハッキリと聞こえた。

「は?おい、古市!」
下を向いたままで表情の読めない古市の肩をガシッと掴んだ。

「!?」
瞬間ビクッとしてバッと顔を上げた古市。

「な、なに?男鹿。」

「は?…あ、いや。わりい…。」


古市は先ほどのことは記憶にない様子だ。
…俺の勘違いか?

考え事をしているとぷにっと古市に顔をつつかれた。

「なに?お前が考え事?」
そう言って笑顔を見せる古市はいつもの古市だった。
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