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□呼ばれぬ名 6
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『古市貴之』はソロモン72柱に名を連ねる悪魔である。

そんなこと、信じられるか。

古市は古市だ。

悪魔のわけがない。

なあ、古市。そんなの冗談だろ?

…なんで否定しない。

どうして黙ったままなんだ。

なんで、どうして。そんな言葉ばかりがぐるぐると頭の中で回って、結局口からは出ずに消えていった。

困ったように笑う古市の顔が見えた。




それ以来、古市とは会話をしなくなった。

普段通りしていようとしても、なんとなく、ぎこちなくて…。
学校であっても俺から視線をそらしてしまう。

古市とあまり一緒にいなくなった。

古市が悪魔。

俺にはその事実を受け入れることができなかったから。




「いつまでそうやってあやつを避けるつもりだ?」

「…うるせえ。」

ヒルダに指摘されて気がつく。
ここしばらく古市と話していない。

…1度、ちゃんと話したほうがいいかもな…。
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