シリーズ
□呼ばれぬ名 8
1ページ/2ページ
「なぁ…『古市貴之』くん?」
プルフラスは教室中に甲高い声を響かせる。
しかし俺は先ほどの言葉が頭で何度もリピートされていた。
…どうしてここで古市の名前が出てくるんだ…?
「おやおや、ソロモン王よ。
あなた本当に覚えてないのですね。
ソロモン王、あなたを殺したのは…。」
耳をふさぎたかった。でも反対に知りたいという思いもあった。
だから古市やシトリーが喚いていたのにもかかわらず聞いてしまった。
…犯人を…
「『古市貴之』と呼ばれる『彼』なのですから。」
瞬間、ガンッ!と鈍い音がしてプルフラスの後ろにあった黒板が砕け散った。
振り向くと明らかにキレているシトリー。
「貴様…それ以上話したら今度はその口ごと砕いてやる。」
脅すような視線と声色。
しかしプルフラスは平然としていた。
「おやおや恐ろしいことで。
でわね、ソロモン王。またお会いしましょう。」
そう言いプルフラスはふっと消えた。
「…ねえ、男鹿?今の…」
固まるクラスメイトたちのうち邦枝がやっと声を発した。
しかし邦枝の声は届かない。
「おい!古市どこ行った!?」
吹っ飛ばされた古市の姿がない。
男鹿は焦った。
が、シトリーはまだ不機嫌ながらも「問題ない。」
と言った。
「彼の言った場所ならば想像できる。
来るか?ソロモン。」