他小説

□自責
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休みの日よく、他愛もない会話をして


俺は殆どバイト三昧だったけどたまに一緒に出掛けたりなんかして

二人で笑い合って


近所の人や隣のおばちゃん、大家さんなんかに親子だとか兄弟だとか言われて



でもそんな生活が紛れもなく自分にとって充実したものであったことを俺は知っている。

自覚してたんだ。




――ああ…もう




あの時の土井先生とは違う―――。









そうしてしまったのは





紛れもなく俺なんだ
















―――――



「夏休みさぁ」


「うん?」



夏休みも近付くある晴れた日の朝。何時ものように一年は組の教室はわいわい賑わいを溢していた。


――つったくよくこんな暑いのにそんな元気で居られるよなぁ。


横目でチラリと今会話の中心に居る兵太夫を見つめた。




「僕のカラクリ屋敷に招待するよ!」


「「「カラクリ屋敷ぃ〜〜〜!??」」」



「うん!ね、三治郎は来るでしょ?」

「もっちろん!!」



眩しいなぁ、カラクリコンビ……。




「皆は?」

「私も、行けるなら行こうかな」


乱太郎がにこにこと笑みを溢して言う。




「きり丸はぁー?」




げっ



いきなり話を振られた俺はきっと凄い嫌な顔したに違いない。



「ちょっと何その顔ー。明らかに嫌な顔したでしょ。」

「だぁって兵太夫のカラクリ屋敷だろ〜?ぜぇったい酷い目にあうに決まってんじゃん。」


俺は兵太夫の部屋には絶対入んない。

あのカラクリコンビの部屋はもはや凶器だ。



「タダで入らせてあげるからさぁ〜〜」



………っ!





「よっしゃ!行ってやるぜぇえーーー!!!!!!!」


「じゃあ決まりねー☆」


兵太夫がにっと笑う。




……うわ!しまった……。



つい“タダ”と“あげる”に乗せられた………。


くっそぉ〜〜〜。





「きりちゃんたら…」



乱太郎も呆れたように笑みを見せる。






ん?ちょっと待てよ?



「夏休み、ってことは……」




俺は頭にある人物を思い浮かべる。









ああ……!よっしゃ!!



少しでも土井先生から離れられる!!!!!






俺はニヤニヤしながら小さく誰にも気付かれ無いようにガッツポーズをした。
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