他小説
□愛が溢れる。2
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――その頃半助と新左ヱ門は未だに譲ることをせず、ひたすら言い合っていた。
「だから!私が行きますから!!」
「いえ、私に行かせてください」
「いや、私が行きます!!!」
「いや、私が……」
全く譲る気などないこの二人の前に、二人の思い人は部屋に駆け込んで来た。
「土井先生!!」
「戸部先生!!」
その思い人の声に直ぐに反応する二人。
「きり丸!!」
「金吾!!」
そんな二人にきり丸はずい、と持っていたお茶を差し出した。
「土井先生、持って来ましたよ!」
「き、きり丸……」
一方、こちらも見つめあって動きません。
「戸部先生……」
「金吾………」
そんな二組の恋人達の様子を、またもや影からこそっと見ている二人が。
「…なんでお茶持って来ただけであんな……」
「彼等に何を言っても無駄ですよ、三郎次先輩」
結局また土井先生に話しかけられず仕舞いな二人なのでした。
end
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