キミは、太陽
□2.欲しいものは、家族
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「はぁ…はぁ……」
空の上で、すずは大きく息をしていた。
カゼカゼの実の能力を使って、ここまでの長距離を飛んだのは初めてだった。
(このくらいで、息があがるなんて、まだまだじゃん)
ーーもっと、力が欲しい。
ふと、眼下の海を見る。
そこには、白い美しい帆をかがけた大きな船。
帆の先には、海賊旗。
「白ひげ海賊団!」
頬を紅潮させながら、小さく叫んだ。
ニライカナイという名の、自分のいた世界では天国を意味する島国で、すずはずっと、彼らを待っていた。
真冬の通学路。
学校へ向かう途中、スリップした車が、目前へ迫ってきたのが、最後の記憶だ。
あぁ、死んだんだ。
そう思った。