キミは、太陽
□3.花吹雪
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「お前、あの小娘の知り合いか??」
ウィルの目の前に、青い炎が降り立ち、その中からマルコが現れた。
「……うちで、面倒を見ているだけです」
つい先刻、頭上を大好きな匂いのする突風が吹いた。
花びらを巻き上げながら、その風は、教会のほうへと吹いていく。
「かーちゃん、行ってくる」
「ちゃーんと、受け止めてあげるんだよ」
あの子が、いつも話していた。
でも、別れなんか来てほしくないって、どこかで期待してたんだ。
その決意が、どれだけ強いものかも知っていたのに。
「すず……」
教会の中庭で、あざやかな花にかこまれて、小さくて細い肩が揺れている。
両手で顔をおおって、泣き声が漏れていた。
「やっと、逢えたよ」
「…すず…」
「娘に、してくれるって」
分かっていたのに。
なんで、こんなにつらいんだろう。
いっしょに、泣けたらいいのに。
でも俺は男だから。
「目が腫れるぞ。うちに帰ろう」
「……うん」
抱き締められたら、どんなに……
でもそれは、叶わない想いだって、知っている。