キミは、太陽
□**その矢は、ただ真っ直ぐに
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守りたい人の笑顔を思い出すくらいの、太陽の輝いた晴天。
愛用の弓を片手に、甲板へと向かう。
いらない樽や、木箱をもらって、ウィルと並べる。
「久しぶりに、握る」
「洗濯に掃除に、料理の手伝いだろ。
休まなくてだいじょうぶか?すず」
モビーに乗ってからマルコに何かと雑用を任されて、すずが休んでいるところをウィルは見ていなかった。
すずは、ウィルに首をふる。
「体が、なまっちゃうよ。
今日はどうしても弓をひきたくて、早起きして全部終わらせたんだ」
そして、手首にずっとはめていた、リストウェイトをとり、ウィルにわたした。
「…また、重くなってる」
少しでも強くなりたいからと、すずは普段、両手両足にウェイトをつけている。
「ふふ。持っててね」
つい先日乗り込んできた、新しい家族。
かわいい少女と、明らかにその少女に惚れ込んでる少年。
何をしているんだと、兄たちも集まってきた。
すずは、髪を高い位置で、ひとつに結い上げる。
弓を持ち、背筋を伸ばした。
深く息を吸い、一度、目を閉じて、手に力をこめる。
弦を、ひく。
『神弓』
ドガンッと、樽の上の木箱がひとつ、粉々に飛び散った。