キミは、太陽
□4.スペード海賊団
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雨の海域が続いていた。
モビーの船内には、洗濯物が大量につるされている。
「乾いてるシャツがねぇ!」
「今なら乾燥室やってるから、行ってこい」
通路にまで干された洗濯物。
掻き分けながら、奥へすすむ。
「すずー、これお願いできるか?」
「はーい」
その部屋の扉を開けると、笑顔のかわいい末の妹が迎えてくれた。
男の頬がゆるむ。
「10分くらいで乾きますよ」
兄からシャツを受けとると、これまたたくさん並んだ洗濯物の隣に干した。
大量の洗濯物対策に、マルコが考えたすずの緊急乾燥室である。
ニヤニヤしながら兄がドアを閉めたのを確認すると、すずは一度目を閉じた。
『乱れ風』
すずの髪が一筋、浮かび上がる。
ふわりふわりと、髪全体が浮かぶ。
空気に溶けるように、風が生まれた。
部屋全体を風で満たすと、すずは目を開けた。
そして、マルコに貸してもらった新聞を取り出す。
『王下七武海への勧誘を断る』
紙面にはエースの写真。
兄たちには見せられない顔をしてしまう。
ここは、一人になれるから、良かった。