キミは、太陽


□5.ACE
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目を開けると、ベッドの上だった。
身体中が、絆創膏だらけ。

「…なんか、いい匂い…」

ふわんと、部屋には花のような香りが残っている。

エースは立ち上がると、部屋を出た。

その船は、大きい。
自分が船長を名乗っていた船とは、比べ物にならないくらいに。

頭をかかえて、座り込む。

サッチが、エースに気づいて近付いてくる。

「よー、起きたか?
俺は四番隊の隊長のサッチってんだよ」
「うるせぇ!!」
「なんだよ、寝起き悪いな」

その様子を、すずは弓の手入れをするふりをして、ずっと見ていた。
何度も読んだ光景。

「錠も枷もつけずに…」

立ち上がって、エースに向かって弓を射る。
ドガンッと大きな音をたてて、エースのすぐ近くの船縁に穴が開いた。

「…やってみればいい。
あなたじゃ、まだ親父さんの首はとれない」
「お前…!」

エースに睨み付けられる。
そんな顔、見たくない。

「…やってやるよ!
何十回だって!」

すずはエースに背を向けた。
サッチが慌てたように追いかけてくる。

「すずちゃん、どうしたんだよ?あんなことするなんて、すずちゃんらしくないぞ?」

「……ごめんなさい。
いま、話したくない」

こんなことするつもりじゃなかった。
でもきっと、
親父さんの強さを知らないと、
エースは前に進めない。
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