キミは、太陽
□8.流星群
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鬼気迫るとは、まさにこのことだ。
弓を射るすずの身体から、風が今にも吹き荒れそうになっている。
キッと的を睨み付け、弦から手を離す。
『神弓』
矢は一直線に飛び、的は粉々になった。
「最近、やたら気合い入ってない?
すずちゃん」
すずの背には、エースから預かっているオレンジ色のテンガロン。
「……かかえこみすぎだよぃ」
膝に手をついて、肩で息をするすず。
エースが今回の遠征に行ってから、がむしゃらに弓を射ることが増えた。
『敵襲だーーー』
突然、見張りの声がモビーに響き渡る。
マルコが不死鳥となり空へ舞うのに続き、すずも弓を持って飛んだ。
モビーの上空。
青い鳥と、つむじ風。
「砕氷船だねぃ」
「砕氷船?」
「氷の魔女の船だよぃ」
ホワイティベイ。
知ってる。
「マルコ隊長 !
先発で行かせてください!
新しいやつ、ためしたいです」
マルコの目がすずを見る。
かわいい末の妹。
敵襲のときは、いつも自分の傍においておいた。
何があっても、守れるように。
「…だいじょうぶかよぃ?」
青い煌めきを見ながら、すずは笑った。
「マルコ隊長がいるから、だいじょうぶです!」
いつも冷静に戦況を見定め、指示をだすマルコ。
彼がいれば、何も怖くない。
「いってきます」
『突風』
そう言うと、すずは強風となり、砕氷船へと吹いた。