キミは、太陽


□13.焔風
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二番隊の隊長になったときに、
ビブルカードを作った。
一番最初に、
エースはすずに、
すずはエースに、
自分のものを千切って渡した。
どこにいても、
どうなっていても、これで分かるから。







気流にのる、すず。
両手で守るように包んだビブルカードを、のぞく。
チリチリと、端が焦げている。

「ここじゃないでしょ。
まだ先のはずじゃない、エース」

インペルダウンの、
傷だらけのエースが脳裏に浮かぶ。
きっと、たくさん怪我をしている。

「お願い。風よ、あつまって」

そして、早く早く、
エースのところへ、届けて。

「エース!!」

キミを守るために、
わたしは、世界を越えたんだ。

「死んじゃ、やだ!!」

青空、青い海。
太陽。
そして、一陣の風。

風の、すず。









「くそっ」

倒しても倒しても、数が減らない。
この錠さえなければ、炎となれるのに。

「鍵は、まだかよ!」

脳裏に浮かぶのは、すずだ。



そこにいてね、離さないで。




「……俺は、死なねえ!!」

渾身の一撃。
だが、次から次に、
海兵は湧いてくる。

体が傾く。
すずの顔。
匂い、声、感触。
もう一度。
いや、一度じゃいやだ。
今度こそ、離さない。

「ぐぅっ!」

生身の体に喰らう攻撃に、
鈍い声が漏れる。

「すず、俺は死なねぇ!!」

倒れてたまるか。
抱き締めるんだ、すずを。
笑い合うんだ、すずと。

俺は、死なねぇ、すず。
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