キミは、太陽
□1.船が、見えた
2ページ/3ページ
『つむじ風』
凛とした声が響き、果物でいっぱいになった籠をもつ少年の前に、小さな竜巻が降りてきた。
そしてその中心に、先程の少女が現れた。
「ウィルくん!白ひげ海賊団の船が見える!」
薄い茶色の長い髪をなびかせて、その頬は朱色に染まっている。
そして嬉しそうに、少年に話しかけた。
ウィルと呼ばれた少年は、籠を店先に置き、少女に向き合う。
「すず、すぐに行くのか?」
困ったような笑顔を、ウィルはした。
その笑顔に、少女はーーすずは、少しだけ、息を飲む。
だが、顔を背けて、海を見つめながら話し始めた。
「ずっと、待っていたから…」