キミは、太陽
□3.花吹雪
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「…二年前です」
子供たちに戸惑うマルコに、ウィルが話し始めた。
「花びらといっしょに、すずはこの島の舞い降りてきたんです」
その時は、不思議と風は無かった。
花びらが一枚、ふと、舞い上がる。
二枚目が舞う。
その二枚に、ウィルは目がとまった。
風は、ないのに。
三枚、四枚、五枚………
徐々に、それは増えていく。
周りにいる人々の視線があつまるころには、それはかなり大きな花びらの固まりになっていた。
そして、まるで踊るように、教会の方へ舞い始める。
視線が外せなくて、胸が高鳴って、とにかく、それを追った。
大通りを走る。
右へ曲がる。
息が上がる。
白い教会の奥。
緑と、たくさんの色の花。
その中に。
少女がひとり。
見たこともない服……。
閉じていても分かる、その大きな目。
長い睫。
薄い茶色の髪。
桃色の唇。
忘れられない。
恋に、落ちた瞬間だった。