キミは、太陽


□3.花吹雪
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すずという名の少女は、ここがグランドラインにある島だと知ると、とても驚いていた。

「うそ……じゃないの?」

周りを見渡す。
確かに、今までいた場所とは、全く違う景色。

「あったかいね…」
「春島だからな」

制服のブレザーを脱ぐ。
立ち上がろうとするすずに
、ウィルは手を貸してくれた。

「グランドライン…
この先に、海賊王の秘宝がある…」
「ワンピースのことか?」
「あの、えっと…」
「ウィル」
「ごめんなさい。ウィルくん、白ひげ海賊団を知ってる??」

遠くに海が見える。
もしかしたら、この海に……

「……エース……!!」

突然、顔をおおって、すずは涙をこぼした。

「泣くなよ!
白ひげって、あれだよな。
いま、この海じゃ、最強の……」

すずの体が傾く。
やばい。
ウィルはすぐに抱き止める。

「すず、だいじょうぶか?!」
泣きながら、気を失っていた。




「それから、うちで面倒を見ています」
「頑張りやさんなんだよ、すずちゃんは」

紙袋を「親父さんにお土産」と言いながら、ウィルの母親がマルコに渡す。

「お店のお手伝いもしてくれたし、勉強も。
それにほら、前、海軍にいたっていう…」

「あたしのことね、お母さん」

大胆なスリットの入った赤いドレス。
真っ赤な口紅。

ウィルの後ろから、ヒールの音を響かせて、背の高い深紅の髪をした女が現れた。

「……スザク!!」
「ひさしぶり、マルコ」

マルコが後ずさる。

「もう海軍はやめたから、安心して」
いまは、飲み屋のママさんよと、スザクと呼ばれた女は続けた。

「あの子は、誰も知らないこの島で、ずっと、あんたたちを待っていたんだよ」
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