キミは、太陽


□5.ACE
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「なぁ、笑わなくなった」
「誰がだよぃ」
「すずちゃん」

マルコの部屋でラムの瓶を傾けながら、サッチが話す。

「ここんとこ、何日か、笑顔を見てない」
「…………」

マルコは、眉間に皺を寄せる。





エースは毎日、何十回と白ひげの首を狙った。

斧を持って白ひげに飛びかかり、そのまま殴り返されて、海に落ちる。

「ウィルくん!」

それを見ていたすずは、そばにいたウィルの腕を掴んで、上目使いで訴えた。

「エースを助けて!」

今にも泣きそうな顔で、好きな女に言われたものだから、何も言えずにウィルは海へ飛び込む。

(…こいつか。
すずの好きなやつ)

ぐったりとするエースを抱えて船に泳ぎながら、ウィルは確信した。

気づくと、すずの視線はいつもこいつにいっている。
ずっと、見ている。

「海に沈めてぇ。
でもすずが泣くのは嫌だ」

ウィルは、船へと泳ぐ。





彼が気を失っているうちに、手当てをする。

「また、変だ」

マルコが出てくるはずなのに、彼は自室にこもったままだ。

すずは、腕をさする。
もう赤いあとは消えていた。

そして、エースの顔を覗く。

「そばかす。くせっけ。
早く笑った顔が見たいなぁ」

呟くと、マルコの部屋へと、風になる。
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