キミは、太陽


□2014 エース誕 「たからばこ」〈1〉
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夜中に、目が覚めた。
この頃、いつも、そうだ。
隣で眠っているはずの、だいすきな人。
そのぬくもりが無いことに気付いて、
目が覚める。

「…また、いねぇ」

むくっと起き上がると、
エースはすずを探しに部屋を出た。


この頃、いつも、そうだ。
最初は寝ぼけていて気付かなかったが、
部屋を出ると、人の気配がして、
自分とは逆の方向に消えていく。


ほら、今日も。
エースはちらりと、後ろに視線を向けた。
そして、しばらくすると、
何処からともなく、すずが現れる。


ほら、今日も。


「あ、エース」
「……すず」

何かあるなと、さすがに思う。

「どうしたの?トイレ?」
「いや…」

ストールを羽織って、
首を傾げるすずの顔を、
エースは寝ぼけた目を擦りながら見る。

「エース?」
「…なんで、どっかに行くんだよ」
「どこにも…」
「いなくなるじゃねぇか」

気づくと、いない。そう、いない。

「部屋に、戻ろうよ」

繋ごうとしたすずの手を、
エースは振り払った。

「エース」
「…他に男でもいんのか?」
「いないよ」
「じゃあ何で、
俺は毎晩、見張られてんだ?」

ギクッと、すずの肩が揺れる。

「なんのこと?」
「気づかねぇわけ、ねぇだろ」

もう、はっきりと目が覚めているエースの、
冷たい視線がすずに突き刺さった。
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