キミは、太陽


□2014 エース誕 「たからばこ」〈1〉
5ページ/7ページ

「すずは?」
「宝物庫です」
「エースが来てから、
あそこで泣くこと、無かったのにな」

朝食の時間。
食堂には、
いかにも不機嫌なエースだけで、
いつも隣で笑っているすずの姿は、
無かった。
マルコはサッチの隣に腰かける。
その隣には、
すずと一緒に家族になった、ウィル。

「ひどかったってぃ?」
「あぁ、みんな起きちまうくらいだった」
「…それからずっと、
すずは宝物庫です」

はぁっと、マルコはため息をつく。
ついさっき、近海の偵察から戻ると、
末っ子たちがケンカをしたと報告された。
一方的にエースが怒鳴り、
そのあとからすずの姿が見えないと、
聞いている。

「あそこで泣いてるときは、
一人にしてくれってサインだからなぁ」
「隠してコソコソやってるからだよぃ」
「だって、すずちゃんがよ」
「…俺、いってきます。すずのところ」

ガチャッと食器を置くと、
ウィルは食堂を出ていく。
その姿を、
気に食わなそうに、エースは見ていた。




すずの宝箱の中身を、ウィルは知っている。
ひとつひとつを大切に仕舞うすずの顔を、
思い出す。
ニライカナイにいる頃から、
少しずつ集めていた、すずの宝物。

「バカ、エース。
すずを、泣かすなよ」

奪い取れたら、どんなに。
でも、それは、決して叶わない。
エースには誰も、敵わない。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ