ゼルダの伝説 時のオカリナ ソウル・リベレイター

□第20章
2ページ/3ページ

水没してるだけあって、神殿内は湿気が凄かった。まだ水に潜っていたほうが良かったが、そうもいかないのでシモンは水から上がった。
当たり前だがびしょ濡れだ。おかげで、水に濡れた服が重い。濡れた服が肌にへばりついて気持ち悪かった。
神殿は長年放置されてたわりには綺麗だった。
奥に進むと、なにやら塔のようなものが目につく。隣にいたアレディが説明してくれた。

「あの塔の中にこの神殿の水位を操作する印があるのです」

シモンは塔を見上げた。パッと見三階くらいか。
アレディはさらに続ける。

「水位を操作する仕掛けは3つあって、その一つがあの塔の中にあります」

アレディが一歩進んで下を見た。

「水が引いてしまってますね…」

シモンも覗きこむ。
一番下の階には砂が剥き出しになっていた。所々水溜まりがあるから、水が存在していたのがわかる。

「シモン殿。あの塔の中に水位を上げる仕掛けがあります。ですので、入って水位を上げて貰えませんか?」
「分かった」

シモンは隙間を飛び越えて、扉を開いた。
塔の中は空中に設置された足場がいくつもあり、その全てに丸型の印があった。反対に地面は全部トゲ。

「よっ」

シモンは丸型の印に向かってフックショットを発射した。深々と刺さり、シモンを引っ張り上げる。
足場を登ると、例の三角形のマークがあった。

「これは…」

これが仕掛け……なのだろうか。
シモンが触れるが何も起きない。一体どうやって作動させるのか。

「アレディ!!聞こえる!?」

シモンが大声で呼ぶ。聞こえるかどうか不安だったが「はい!」と爽やかな返事が帰ってきた。
確認したあと、シモンは大声で呼び掛けた。

「水位を操作する印って、この三角形のマークのことー!?」
「あ、そうです!!」
「どうやって作動させればいいのー!?」
「え〜と……王家を示す歌だそうですー!」

なんとも微妙な答えだ、と普通の人ならそう考えるだろう。
しかしシモンはそれを聞くとオカリナを取り出した。

〜♪…〜♪

狭い塔の内部に、オカリナの澄んだ音色が響き渡る。すっかり吹きなれた「ゼルダの子守唄」だ。
変化があったのはその直後。
シモンの足元でザァァという音。
なんと水がせりあがってきたのだ。

「うわうわ」

どういう仕掛けなのか、どんどん水が増えていく。シモンは驚いていたが、やがて水はシモンが立っている足場の所で、ピタリと止まった。

「水位が上がりましたー!ありがとうございますー!」

アレディが外から叫んでいる。
そのあと、アレディは付け加えるように言った。

「実は仕掛けをもう1つ作動させてほしいんです!!もう1つはその塔を出て、西の扉を進んだ先にあるはずです!私は下から仲間を探します!どうか、お気をつけて!」
「アレディも、気を付けてー!」

返事はない。もう行ってしまったのだろうか。
なんにせよ、もうこの塔に用はない。シモンはジャンプして、反対の扉から出た。

「わ…本当に水位が上がってるわ…」

分かっていたが、塔の外も水が上がっていた。さっきシモン達がいたところが水浸しになっている。
シモンは横を向いた。扉がある。迷わずドアノブを回す。

「……?」

こりゃまた変な場所に来た。小さい部屋だが、奥に水が凄い勢いで吹き出ており、その真上に四角い穴が空いている。そしてシモンの隣には水晶のような物が鎮座してある。

「なーにここ。この神殿は変な仕掛けばっかりね」

アルマが呆れたようにいう。

「どういうことなんだろう…」

取り合えず、二人は室内を調べ始めた。




「シモン、なにか見つかったー?」
「何も……」

しきりに部屋を探索するが特にめぼしいものはない。中央にめぼしい物がある?今は置いとく。
シモンは間欠泉のように吹き出る水を覗きこんだ。どこから吹き出しているのか、底が見えない。
乗れば何か作動するかと思い、足を出した。
うっ、冷たい。ただでさえびしょ濡れなのに、また濡らすはめになるとは。
それにしても凄い勢いだ。どれだけの水量噴射しているのか、シモンが楽々乗れたほどだ。足の裏が押されている感がある。なんというか…気持ちいい……。
休憩(?)を挟み、シモンは上を見た。ぽっかりと空いて、その奥の部屋の天井が見える。
するとシモンの頭に閃きが走った。

「アルマ」

呼ぶと、部屋の隅にいたアルマはスッと飛んできた。

「何か見つかった?」
「見てて」

シモンが水晶の柱の所まで走る。
シモンは剣を抜き、水晶の柱を思いきり叩いた。

「!?」

突然、吹き出していた水が上へ上がり始めた。それと同時にシモンがダッシュ。

「うおりゃー!!」

水が天井に空いた穴を通過する。シモンはそこに向かってジャンプ…出来なかった。


「ぶふっ!!」

シモンがジャンプしようとしたが、つまづいてしまったのだ。実に派手に転んだ。ビッターンという擬音が聞こえたほど。

「……」

沈黙が去来。
しばらくしてアルマが言葉を発した。

「バカなの?」
「失礼な!」

シモンが光の速さで起き上がった。

「僕はあの水晶が水を上げるスイッチだと思って、あれに乗れば上に行けると思って…」
「……あのねぇシモン。ここにたってご覧なさい」

アルマが吹き出す水を指す。言われた通り立ってみせる。

「フックショットで水晶狙って」

これまた指示通りフックショットで水晶を狙いうった。
すると足がガクンとなり、水が上がり始める。
ここまで来てシモンはようやく理解できた。

「あ…」
「ね?こうやってやれば安全だし確実よ」
「……」

そうだ。最初からこうすればよかったのだ。それに気付かなかったシモンは多分アホ。
煮え切らないまま上に移動する。水から跳ねて扉を開けた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ