ゼルダの伝説 時のオカリナ ソウル・リベレイター

□第4章
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シモンたちはすでにハイラル城を出て、シルファのいうカカリコ村へ向かっていた。太陽も高く上がっている。恐らくお昼時。
隣にいるのは時の神殿で出会ったシルファという女性だ。とても優しいお姉さん…だったのだがあの形相を見てしまったらそのイメージが…。

「……で、質問なのだけど」

隣で歩いていたシルファが口を開いた。

「あなたが探している人はどんな人なの?」
「……僕のお兄ちゃん。とっても優しくてかっこいいんだ」
「へぇ…でもどうして?」
「こないだ崖から落ちちゃって…今もどこかで生きてる…と信じたい…」
「……まさかここまで一人で?」

シモンは僅かにコクリと頷いた。
すると彼女の白い手が伸びてきてシモンの頭を優しく撫でた。

「偉いわ…そんな小さいのになんて健気」
「え…へへ」

照れながら少しはにかむ。

「ちょっと!私もいるわよ!」

シルファとシモンの間に割って入ってきたのは妖精のアルマであった。

「あなたはよく喋るわね」
「べ、別に?」
「ちょっと耳に響くわ。静かにしてもらえる?」
「な…」

その言葉がアルマのプライドに火をつけてしまった。

「なんなのよさっきから!なにかと私に言って!」
「妖精なのに犬みたいね」
「な…なん…」
「あーもう!ごめんなさい!」

シモンがアルマを両手で挟んだ。手の中からは悲鳴か怒号かが聞こえる。

「…さあ、あの橋を渡ったらカカリコ村よ」

しかしシルファが気にするはずもなく、なにごとも無かったようにスルー。この女性、シモンとアルマに対する態度の差が激しい。

「あの…シルファさんは…」
「シルファでいいわ」
「じゃあシルファ。シルファはなんでハイラル城にいたの?」
「仕事よ。私はハイラル王に仕える身として行ってたの」
「そうなんだ」

しばらくして橋の所についた。当然ながら下には川が流れている。汚れひとつない澄んだ水だ。
橋を渡ってまた歩くと今度は階段が見えた。

「この先よ」

シルファの後に続いて階段を上る。
階段が終わり、シルファがこちらに振り向き、ニコリと微笑んだ。

「ようこそ。カカリコ村へ」

見ると石造りの家々が並んだ静かな村だった。人々は黙々と農作業をしており、牛や鶏がいくつもいる。
シモンは想像した村より大分違うことに驚いた。

「もっとハイラル城みたいに賑やかだと思ってた…」
「そんな大層なもんじゃないわ。あっちは富裕層が暮らす場所だもの」

感情があまりこもってない口調でいった。美人なのだが基本無表情なのでマネキンに見えてしまう。

「じゃ、さっそく情報集めね」

アルマが前に進み出る。

「うん…って…」

自分の腹を押さえてみる。エリックのことで色々あったから忘れていたが昨日から何も口にしていない。

「お腹すいたなぁ…」
「空腹なの?」

シルファが振り返る。

「なら私のうちにこない?簡単なものしか作れないけど」
「ほんと!?」
「やめときなさいよシモン」

そういうアルマに鋭い視線が刺さる。

「あなたこんな小さな子供を餓死させたいの?」
「そういうわけじゃないけど…」
「なら、決まりね。私の家はこっちよ」

シルファは銀髪をなびかせて曲がった階段をスタスタ上っていった。

「はあ…」

アルマは小さくまごついていた。
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