ゼルダの伝説 時のオカリナ ソウル・リベレイター

□第20章
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水の中は暗くて、シモンは一瞬目が見えなくなったと思ったほどだった。冷静に考えれば穴の中に入ったんだから暗いのは当たり前だ。
今シモンはどこにいるのかというと、ゾーラの里にあるハイリア湖畔に繋がる穴を泳いでいた。水が吸い込まれていて、流れに乗って進んでいく。
ゾーラの里の水は冷たかったが、そこまでのものではなかった。これが冬だったら死ぬ思いをしただろうが、幸いそうではない。視界も徐々に慣れてきて、周囲の状況が分かってきた。
穴は狭くてシモンはつっかえないように泳ぐのが大変だった。水が流れているので止まる心配はない。

(いてっ)
(どうしたの?)
(身体がぶつかるんだ)

水流のせいで、ときどき身体が壁に当たるのだ。ごつごつした岩なので、痛い。
それにしても長い穴だ。ゾーラの服を着ていなかったら溺れていただろう。
アレディの姿はとうに見えなかった。泳ぐの速すぎだろう。
いっこうに出口が見えない。まさか迷ったのだろうか。
不安にかられたシモンがじたばた手を動かす。嫌だ。こんな所で迷いたくない。いくらゾーラの服を着て息が続くとしても狭所恐怖症になる。嫌だ嫌だ。
と、いきなり身体が圧迫から解放された。長かった細穴が終わり、ハイリア湖畔に出たのだ。助かった。
ふわと身体が浮く。周囲は夜になっていて月が高く上がっていた。だから暗かったのか。
シモンは辺りを見回した。やっぱり暗かったが、月がぼんやりとした光を注いでいたので、なんとなくだが周囲が分かった。

「こちらです」

アレディが水の中で手招きしている。シモンは息を吸って潜った。よくよく考えれば息を吸う必要ないんだった。
アレディが向いている方向には巨大な建造物がそびえていた。ただ完全に水没していて水草が色んな場所から生えてしまっている。

(ここが水の神殿です。気を付けてください。モーファがいますので)
(分かった)

二人は並んで神殿へ足を踏み入れた。
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