□怖いのは
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曇り空を、稲妻が走る。


「きゃっ」


小さく声を出した私を、トビはからかうように笑った。


「あれれ? 先輩、もしかして雷が怖いとか?」


言い返そうとした途端、また空が光った。
思わずしゃがみ込む。
やっぱり怖いんだ、とトビはまた笑う。


「大丈夫ですよ。音も遠いし、大分離れてますよ」
「……音じゃなくて、光が、駄目なんだ」
「光ですか?」
「そう」


昔からそう。
空を切り裂く稲妻が、私には恐ろしい龍に見えて。
食われる、と。
雷が鳴る度、どうしても体が強張る。
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