夢
□発熱により
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心地よい冷たさが、額を支配した。
重い瞼を開くと、見慣れた橙色のお面が視界に入った。
「あ、起こしちゃいましたか」
トビはそっと手を退けた。
額に感じた冷感の正体は、トビの手だったらしい。
「まだ熱はあるみたいです。今日は大人しく寝ていてください」
「私、どうしたんだっけ……」
「記憶無いんですか?」
「うん……」
倒れたんですよ、とトビは言う。
「ボクがここまで運んできたんですからね。あんまり無理はしないでくださいよ?」
「無理なんかしてない」
「無理してるから熱出すんスよ」
至極全うな答えに、何も言えなくなる。